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コーヒータイム【五条悟】※修正有

第12章 10


『五条さん』
「...」
『五条さん!待ってください!!』

五条さんはやっと足を止めてくれてこっちを見た。
さっきまで笑ってたのにサングラスのせいで目元は見えないけど口元が笑ってない。
笑ってないけど五条さんは私が近付くと手を差し出してきた。
握っていいのか分からず躊躇していると五条さんの方から手を握ってくれた。

「どこ行ってきたの?」
『あ、水族館に』
「楽しかった?」
『楽しかった...です』
「そう、良かったね」
『...はい』

そう言うと五条さんはまた前を向いて歩きだした。
手を握られてるから着いて行くしかないけど...でも、何かを言わなきゃ。

『五条さんはなんで釣りに?』
「傑と歩いてたらオッチャンに拉致られて連れてこられた。」
『あぁ...すみません。』
「別に」
『た、楽しかったですか?』
「...楽しかったよ」
『あ、良かったです。』

そう言うと会話がまた終わってしまった。
言わなきゃと思うと怖くて不安で喉が小さく震えて声が出ない。
いつもならこのまま黙って流されていつかこの嫌な空気も収まるだろうとそのままにしてしまうけど、今日はちゃんと言おう。
繋いでた五条さんの手を引くと五条さんは足を止めてくれた。

「なに?」
『あ...あの、私、嘘つきました。』
「嘘?なに?」
『本当は楽しくなかった。』
「...なんで?」
『水族館は綺麗でした。でも、違うんです。五条さんと行きたいと思ったんです...ここに来るまでの道中も水族館をまわる時も五条さんはどんな話するかとかどんな風に思うだろうとか...ずっと五条さんの事を考えてて、でもそれを五条さんに言ったら五条さん嫌かもしれないし困らせちゃうかもしれないと思って言えなかったんです。』

五条さんは何も言わない、五条さんの顔を見るのが怖くてずっと下を向いてる。
何も言わないのがきっと私が言ってる事に対しての返事だと理解した。
もうイイ。ここまできたらヤケクソだ。
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