第12章 10
電車移動も佳奈子達の話を聞いていたらあっという間で目的地着いた。
中に入る前にチケットを購入しようとすると男性組が私たちの分も買ってくれてた。
「はい」
『あ、ありがとうございます。お金払いますね。』
「イイよ。女の子に出させられないよ」
大人だ...。
この人達も大学生だと佳奈子から聞いてたが数年違うだけでスマートなんだなって思ってしまう。
そう言えば五条さんも結構スマートに支払い済ませてくれてたりしてたな...
「カノン」
『あ、うん?なに?』
チケットを見つつ他のことを考えてたら急に佳奈子に話し掛けられた。
「わたし、和希さんと観るからカノンは淳さんと見て」
『え?』
それだけ言うと佳奈子は和希さんの腕を掴んでサッサと館内へ入っていった。
私と淳さんは入口でポツンと立ち尽くしてしまったが淳さんはが「行こう」と声を掛けてくれて中へと進んで行った。
水族館なんていつ以来だろう...
蒼い水槽の中を颯爽と泳ぐ鮮やかな魚達を下から見上げるとまるで空を飛んでいるように見えた。
丸い魚、長い魚、短い魚、泳ぐのが速いの遅いの1匹1匹の動きや形が違って全てが新鮮だった。
どれだけ夢中になってたのかな、淳さんはこちらを見ていたのに気付かず、目が合った時に少しだけ驚いた。
「楽しい?」
『あ、はい。楽しいです。』
「良かった。あっち行く?」
『はい』
口数が少ない淳さんに戸惑いつつも、気遣って先導してくれる事に少しだけ安心した。
全て見終えてショーは見ずに館内のお土産コーナーへ行くとミズクラゲのストラップが目に入った。
フニャフニャしてて五条さんみたい...
1つお土産に買った。