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コーヒータイム【五条悟】※修正有

第12章 10


「じゃあ、帰るから」

立ち上がって五条さん向かうのはドアじゃなくて、お馴染みの窓。
いい加減に玄関から来てって何度も言ってるのに「親にバレずにコッソリ会うのが醍醐味なんだよ」と訳の分からん事を言って、ほとんど窓から入ってくる。

窓に向かう五条さんの後ろへついて行くとこちらに振り向き慣れた手つきで抱きしめてきた。
私は五条さんが抱きしめてる隙間から少しだけ手を出して、ポンポンと五条さんの背中を宥めるようにするだけ...でも、五条さんは何も言わない。

「おやすみ」
『おやすみなさい』

抱きしめ返せないけど、この少しの時間がとても居心地良く感じてしまう。
離れる時に五条さんは私の顔を覗き込んでじっと見つめてきた。
たぶんキスだと分かったけど、気付かないフリをして直ぐに目を逸らした。
私がワザと目を逸らしたのを五条さんは分かっている。
だから小さく息を吐くように笑うと頭を優しく撫でて、帰ってしまった。

幸せだと思ってしまう。
この時間がこの関係が続けば良いのにと
でも、付き合ってないのに手を繋いで抱きしめてキスをして...
本当に今のままでいいの?って冷静になった時に思うけど、聞くのが怖い。
怖いから抱きしめ返せない。
怖いからキスに素直に応じられない。
私が欲しいと思えば五条さんが離れてしまうんじゃないかって...怖くて、何も言えない。
よく「ズルズル続いちゃって」って話で聞くけど、本当に続いちゃうんだな。

静かになった室内で考えていたら胸が苦しくなってきた。
胸を抑えつつ布団に倒れ込むと携帯がチカチカと光る。ディスプレイに「佳奈子」の文字。
届いたメールを開いて見ると「遊ぶ時、友達連れてってもイイ?」と書いてあったので「良いよ」と簡単に返事をした。

佳奈子に相談しよう。
もう、経験の少ない脳みそにはキャパオーバーだ。
幸せな気持ちと複雑な気持ちでゴチャゴチャしたままその日は眠りについた。
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