第12章 10
「京都行こーよ」
『行きませんよ』
いつものように部屋に来て、突拍子も無いことを言うなと思いつつも五条さんの提案をサッサと拒否した。
「夏休みだろ?一緒に出掛けようったじゃん」
『言ったけど距離が規格外』
私の返事に机に伏して少し拗ねた五条さん。
学生...ましてや高校生だけで行く距離では無い。
『なんで京都なんですか?』
「教えたら行く?」
『行かない。』
「姉妹校があるんだよ。そこに用事があって、傑と俺と先生と行くんだけど先生が話終わるまで暇だから一緒に行って、観光しよーと思って」
『なら尚更、行かない』
「ンだよー」
五条さんはまた拗ねたけど、そんな身内だらけの所になんで他人の私が入らなきゃいけないのだ。しかも用事があるのに...図々しいにも程があるだろ。
「2日会えないんだよ?」
『2日でしょ?いつもと一緒』
あのキスの時以来、何か変わったと言えば五条さんがほぼ毎日、お店か家に来るようになった。本当にほぼ毎日。
開けても2日や3日。
スキンシップも多くなってきた。
バイト帰りは絶対に手を繋いくるし、帰る前は抱きしめてくる。
調子がイイとキスもしてこようとするが不意をつかれて2回されたけど、それ以外は私が避けている。
「じゃあ、帰ってきたら出掛けようよ」
『バイトが無い日なら』
「じゃあ、××日は?」
『あ、その日は佳奈子達と出掛けるから』
「そーなの?じゃあ、××日は?」
『その日はバイト』
「はぁ〜、じゃあ××日!」
『あ、午後なら大丈夫です。』
「じゃあ、空けといてよ!」
『分かりました。』
五条さんに言われた通りにスケジュール帳の日にちの所に青くマーカーを引いた。
五条さんと会った日、会う予定の日に青くマーカーを引くようにした。
スケジュール帳を開くと青く染まってる事が多く、それに少しだけ喜んでる自分がいた。