第10章 9※従兄弟/モブ女/出有り。
優しく触れた五条さんの唇が離れた。
顔が熱い。
離れた五条さんの見ていたらまた五条さんの唇が降ってきた。
『ンンッ』
ビックリして『ちょっと!』と抗議しようとしたら、それも塞がれてしまった。
あまりの事に訳も分からず五条さんを引き離そうと背中の服を引っ張るけど離れてはくれず、何度も何度も角度を変えてキスをしてきた。
『っま、待って!』
「ぅぐっ!!」
少しだけ唇が離れた隙に五条さんの顎を掌底打ちすると五条さんからくぐもった声が聞こえた。
やっと解放されて、息が吸える。
『何するんですか!』
「こっちのセリフですよ。掌底打ちなんて女子高生の技じゃないでしょ」
『1回って!言った!』
「言った?」
『言った!』
「嫌だった?」
『嫌とかじゃなくて...心臓がうるさくて...もぅ無理。』
五条さんの視線から逃れる様に布団に伏した。
心臓の音がドキドキと凄い音で布団に響いている。
落ち着け、落ち着け、と自分に言い聞かせてると背中にズシッと重みがのしかかった。五条さんが乗ってきたんだ。
「...凄いね。めっちゃドキドキ言ってる」
『お、重たい』
「ねぇ...」
『ん?』
「また、してもいい?」
『もぅ、ダメっ!!』
「ケチ」
『ケチでもイイ!ダメっ!!』
「じゃあ、勝手にするからいいよ」
『なんでよ!!』
五条さんの重さと普段通りの会話が少しずつ大きな音を立ててた心臓を落ち着かせてくれる。
重たいけど、居心地の良い重たさに身を委ねたら、瞼が重たくなってきた。
「ねぇ」
『ん?』
「楽しい事たくさんしようね」
『例えば?』
「花火とか海とか見たい映画もあるから映画行ったりとか」
『うん』
「たくさん俺との思い出作ってよ」
『ん』
「ん?あ!カノンちゃん!!起きろ!寝るな!!」
ダメだ。意識が遠のく。
ギリギリで感じたのは、五条さんが頭を優しく撫でてくれて上着を掛けてくれて部屋を出ていった事。
何かを言ってたけどきっと大丈夫。いつもの言葉だ。
「また明日、おやすみ。カノンちゃん」