第10章 9※従兄弟/モブ女/出有り。
帰ると電話口では「全く!もぉー!」と文句を言ってた母だが連れて帰ると「可愛い♡」と虜になっていた。
仕事から帰ってきた父もペットショップで色々と揃えてきたのだろう両手に荷物を持ったまま母と一緒に目尻を下げて子猫を覗いてた。
結局、子猫のお世話を父と母に取られてしまい、手持ち無沙汰になった私と五条さんは私の部屋へと上がった。
「...」
『ありがとうございました。』
「ん?なにが?」
『病院。連れて行ってくれて、助かりました。』
「あぁね、別にいいよ。大した事じゃないし」
『でも、五条さんが居てくれたから猫ちゃん大丈夫でしたし、本当にありがとうございました。』
「...じゃあさ」
五条さんにお辞儀をしてお礼を言うといつの間にやらドアの所で五条さんに追い込まれていた。
至近距離でこちらを見下ろす五条さんにいくら私も背が高いと言えど少しだけ見上げる様な形になる。
「いい加減に教えてよ」
『へ?』
「なんで怒ってたの?」
『それは...大した事じゃないので...』
「なら余計に教えて。」
『わ、私だけなのかと思って...』
「なにが?」
『この前の!私だけが恥ずかしかったのかなって思って!!』
「へ?この前のってキスの事?」
『うるさい!もう言わない!!』
恥ずかしくなってその場に顔を隠すようにしゃがみこんだ。
言わまいと思っていたのに言ってしまった。
五条さんどう思っているんだろう...
何も言わない五条さんに不安になっていたら五条さんが動いたのだろう服の摺れる音が静かな部屋に響いて、五条さんの手が蹲っている私の腕に触れた。
「恥ずかしかったの?」
『恥ずかしかった』
「嫌じゃなかった?」
『?嫌じゃなかった』
「キモくなかった?」
『?キモくなかった』
よく分かんない質問をされて、オウム返しのように答えながら少しずつ顔を上げると目の前に五条さんの顔がまたあった。
「じゃあ、何も無かったってなんで言ったの?」