第10章 9※従兄弟/モブ女/出有り。
樹ちゃんと別れて帰路へつく。
家に真っ直ぐ帰ろうと思ったのに、家に帰ったらまた五条さんの事で苦しくなってしまうんじゃないかと思って、遠回りをしてしまった。
夜なのに蒸し暑く感じる気温なのに肌に触れる夜風が優しく冷たかったので散歩しながら帰る道は居心地良く感じた。
家の近くに差し掛かって、時計を見ると結構ギリギリな時間だが近所をあと一周は回れそうだなと感じて家に背を向けて来た道をまた戻り始めた。
「ちょっと!ちょっと!!」
その掛け声と同時に腕を掴まれ勢いよく引っ張られた。
引っ張られた方を見ると五条さんが驚いた顔でこちらを見ていた。
「家帰らないで、どこ行くつもり?」
『なんで居るんですか?』
「いや、帰ってくるの待ってたから」
自然と五条さんは聞いてきたけど、なんでこの人が私より早く家に着いてるの?てか、なんで私の家で帰るの待ってるの?
思う所はたくさんあるけど、今は五条さんに会いたくなくて五条さんの腕を払った。
『そうなんですね、もう帰ります。おやすみなさい』
「ちょ、ちょい!待てって」
『...なんですか?』
「なに?怒ってる?」
『怒ってないです。』
「じゃあ、俺も一緒に帰る」
『はぁ?なに言ってるんですか、嫌です。』
「んだよ、やっぱり怒ってんじゃん」
『怒ってない。一緒に家に帰りたくないだけ、早く寮に帰ってください』
「なんで?」
『理由なんてないです。』
「じゃあ、却下」
この人は...いつもいつも!!
この状況でも冷静を保ってきたのに流石に頭にきた。
いい加減にして!って言おうとしたら突然、玄関のドアが開いた。