第10章 9※従兄弟/モブ女/出有り。
文化祭も終わって、久しぶりのバイト。
今日は従兄弟の大学生“樹”ちゃんと一緒だ。
『樹ちゃん、サークル何に入ったんだっけ?』
「スキーサークル」
『意外!』
「本当はテニスが良かったけど飲みサーみたいで嫌なんだよね。カノンは?」
『ん?』
「最近、可愛くなったね」
『え?』
樹ちゃんがこちらをじっと見つめてくる。
その目に耐えられず1歩横へ引いてしまった。
「なんか、あったでしょ?」
『ないよ!ないない!』
「ふーん。白髪くんと何かあったんだ」
『ないって!てか、五条さん知ってんの!?』
「当たり前じゃん。お客様だよ?」
『五条さんは関係ない』
「ぶっちゃけ付き合ってんの?」
『付き合ってない!』
「そーなの?」
『そうだよ。付き合うなんて...ありえない』
カラン、カラン、
そんな話をしてたらお店のドアが開く音がした。
2人でドアの方を見るとナイスタイミングで噂の人物、五条さんと夏油さんが居た。
昨日以来だ...気まずい。
『「いらっしゃいませ」』
「こんにちは」
「...」
『夏油さん、お久しぶりです。お元気でしたか?』
「うん。カノンさんは文化祭だったんだね、どうだった?」
『はい、なんとか無事に終わりました。』
私が夏油さんと話してる間も五条さんは一切口を開く事がなくメニューを見たり携帯を弄っているだけだった。
様子が気になるけど話し掛けにくくそのままにしたら五条さんの携帯が着信を鳴らして、五条さんは電話に出てお店の外へと向かった。
「悟と何かあった?」
『え!なんでですか?何も無いです』
「まぁ、嘘ついたところで私は知ってるけどね」
『...』
性格悪っ!!
「ダメだよ。何も無いなんて言ったら」
『...』
夏油さんの言葉に黙ってしまうと電話が終わった五条さんがお店に入ってきた。
「傑、戻ろう」
「何かあったのか?」
「歌姫達が来てんだわ」
「分かった。武笠さん、またね」
そう言って、五条さん達は注文せずにお店を後にした。