第9章 8※8巻内容有り
あれから五条さんが家に来る事はなく、遂に明日は文化祭当日。
ギリギリだった準備も終えて帰る頃には夜道は暗く、突然なにかが飛び出してきたら驚く位に暗い。
「やっと明日で全てが終わる...」
『言い方(笑)、明日が本番だからね』
「分かってる!でも、これで解放されるかと思うと...くぅぅー!!」
そう言って喜びを横で爆発させてるのは拓海。
先に終わってた筈なのに待っていてくれたらしく暗いから送ると声を掛けてくれた。
『明日、本番頑張ろうね。王子様』
「やめろ。別に王子なんてやりたくなかったってーの」
そう。王子役は拓海。
立候補でもクジ引きでもなく拓海の場合は多数決で決まってしまった。
実はこれには策略が働いていて、シンデレラ役の子が拓海の事を好きで、女子は彼女の為に拓海を王子にと票を入れたのだ。
佳奈子はその子の為にとゆーよりは「なにそれ、面白そ(笑)」と言って票を入れていた。(笑)
私も悩んだが、自分と拓海の一騎打ちになってしまい、速攻で拓海へ票を入れた。
「なぁ、明日の文化祭だれか呼んでんの?」
『ん?誰かって?』
「ほら、他校の奴とかさ」
『あぁ、別に誰も声掛けてないよ』
本当は硝子に声を掛けようかと思ったが劇を見られたくなくて、声を掛けなかった。
「あの、悟って人は?」
『五条さん?あぁ、もしかして佳奈子?』
佳奈子が「悟くんは!?傑くんは!?来るよね!?」と騒いでたのを思い出した。
『五条さんは来ないよ。連絡とってないし』
「そっか」
五条さん元気にしているだろうか...もぅ彼には会えないのかな...
そんな事を考えていたら突然、拓海に手を握られた。
「あのさ、文化祭の後の花火...誰かと見る?」
『花火?』
文化祭の後に学校で上げる打ち上げ花火の事だろうか?
『いや...誰と見るとか決めてないけど』
「予定ないなら俺と見ない?」
街灯の少ない暗闇の中で見た拓海の顔は暗闇の中なのに赤く染って居るのが分かった。