第9章 8※8巻内容有り
「じゃあ、本当に行くね」
『気を付けて帰って下さいね』
「はいよ。カノンちゃんも魔法使いの役、頑張ってね」
そう言って屋根に降り立った五条さんは彼の発言にビックリして鞄を確認した一瞬の隙に居なくなっていた。
アイツ!!鞄の台本見やがったな...
たった数分だった。
たった数回の会話だった。
それだけで心が温かく、目の前の色が鮮やかに見えた。
また、明日から頑張れる...そんな気がした。
お風呂掃除する為に着替えて下に降りると母が不思議そうな顔でコチラを見ていた。
「ねぇ、水筒とサンドイッチなんて急にどうしたの?」
『ちょっとね』
「ふーん...いい事あった?」
『え!?なんで?』
「んー?当たり?だって、ココ最近ずっとつまんなそうにしてたのに今日はスゴい嬉しそうだから」
『そ、そう?』
「そうよー、顔見てみなさいよ!ニコニコしてるわよ」
そう母に言われて鏡で顔を見るといつも通りの自分の顔が映ってた。
嬉しそう...か?親にはこの変化が、分かるのか...
夜に仕事から帰ってきた父が私の顔を見るなり
「何かいい事あった?」
とまた、同じ事を聞いてきた。
親って凄いなっと思いつつ、早く顔落ち着け!!と両頬を引っ張った