第9章 8※8巻内容有り
裏方を希望したのは本当だ。
ただ、魔法使い役がなかなか決まらず...
残った生徒全員でクジを引いた結果、本当に運が有るのか無いのか...見事に魔法使い役を引き当ててしまった。
まぁ主役じゃないだけ良かったと思っておこう。
納得いかなそうな顔をしている五条さんに嘘がバレない様に入れてきたココアを飲んで心を落ち着かせる。
「まぁでもさ...文化祭は行く行かないにしても、次に会う時までにはそろそろ敬語止めててくれると嬉しいな」
『...』
五条さんの言いたい事は分かってる。
「敬語なしね」って言われてから頑張って慣らそうとはしているんだが本人を目の前にすると照れて使えないでいた。
次に会う時までには...どれくらいの日を予想してそれを言ったんだろう。
「それじゃあ、俺もう帰るわ」
五条さんはそう言って立ち上がると玄関ではなく慣れた様子で窓から身を出し、屋根へと降り立った。
『気を付けて帰ってくださいね』
「おやすみ」
『...おやすみなさい』
「またね」と言わないって事は本当に暫く会えないのだろう。
すぐ会いに来る時は「またね」って必ず言うから
「ねぇ」
『ん?』
「寂しい?」
「寂しい?」...考えもしなかった。
五条さんが来ないことを想像してみて考えてみた。
でも、この人がいつ来るか分からないのなんていつもの事だから...
『寂しい...くは無いかな?』
「ないんかい(笑)」
『五条さんいつも気まぐれじゃないですか』
「まぁそうだね。」
五条さんは大きく背伸びをした。
「戸締りちゃんとしろよ。」
その一言を言って、五条さんは帰って行った。