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【鬼滅の刃】あかいえにしは ゆめをみる。

第1章 序章


「んなら出るか。」

「えっと、もう。いや、善は急げと言うものね!…いやでも」

「どっちだよ」

あれだけ懇願してきた外。いざ出るとなると緊張でどうにかなりそうだ。
久しぶりの外だ。見たらどうしても行きたくなってしまうから窓には近付かなかったが、もうそれで悩むこともないのだ。見張りの目に怯えることも無いし、持ってこられた変な食事を食べなくて良くなる。

「すぅっ…はぁ…よし、いいわ。」

「ん。んじゃあ持つぞ。」

ヒョイと米俵の様に私を担ぐ。…なんか、見た目に反して乱暴な扱いはしないし、さっきも言ってから担ぐあたり、女慣れしている気が…いやこの筋肉達磨が?でもなぁ…?

「…貴方、奥さんはいるのかしら。」

分からないなら聞くに限る。宇髄はなんでそんなん聞くんだと言っていたが、嫁が三人だと答えてくれた。あぁ成程。三人も奥方がいるなら当たり前か。


三人?

「今三人って言ったかしら」

「言ったな。」

「一夫多妻制はまだ健在だったかしら」

「いんや。俺がド派手に変わってるだけだ。」

「…それなら、よかったかしら。」

落ち着け私、語尾が「かしら」になりつつあるぞ。結婚している人間は見たことがあるが、三人は初めて聞いたぞ。嫁姑ならぬ嫁嫁戦争とか大変そう。

「じゃあ飛ぶぞ」

「そう………飛ぶ?待って、飛ぶって」

なんなのよ。そう言い終わる前に宇髄はひらりと窓から飛び降りた。

「〜っ!?」

ぶわ、と風が髪を煽る。前世でもジェットコースターは大の苦手だったのに…!宇髄にとってはいつもの事でも私にとっては殆どが初めてなのだ。後で覚えとけよ宇髄。

「ほい、着地だ。」

「…っ宇髄!貴方…!」

「走る。舌噛むぜ!」

「なっ…わぁっ!?」

足速すぎない!この男足速すぎない!?もうほんと…!

目が乾くのが慣れなくて瞑っていると色々気付く事ってあるのね。こいつ、足音が全くしない。鬼殺隊の隊員は皆こうなのか?えっこわ…

「…っと、返事が来た。止まるぞ。」

「返事って、『ある御方』から?」

「あぁ。」

止まって私を下ろした宇髄は腕を上げて鴉をとめた。目を開くといつの間にか村を抜けていた様で、あたりは一面木や草だった。

(久しぶりに自然の匂いとか嗅いだなぁ…)

なんか、こう、本当に外に出た!って感じで感慨深くなるよね。
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