第2章 柱〈前〉
宇髄がプルプルと笑いながら頷いた。ムカつくなそれ。黙ってたから影薄くて覚えてなかったのか?ウッソだろ私。
「…気づいてたなら教えてよ。」
「派手に断る。」
「派手に断るって何!」
いつもの埒が開かない言い合いである。こういうことしてると大体…
「あっ…緋縁ちゃーん!」
「ほぎゃっ!?」
他の人が締めるのだ。起きている私を見た蜜璃ちゃんが涙を浮かべながら抱きついて来た。ギブギブ。
「蜜璃、心配かけたわ…力を緩めて。」
「ご、ごめんなさい…!」
「派手な登場だなぁ、甘露寺!」
一気に場が和んだ。いやぁ、これぞ可愛いの力。可愛いは人を救うのだ。事実蜜璃ちゃんは鬼を滅し人を守ってる。
「やっぱり蜜璃はすごいわ…」
「急にどうしたの?」
「蜜璃は可愛いって話よ。」
不死川さんはまだここにいるらしいし私は二、三日四人の柱と過ごすのか。考えるだけで騒がしそうだ。
「それにしても、その服色んな人が来てるのね。」
不死川さんが着ている薄緑色のパジャマのような服を指差し言う。
「入院着だからなァ」
「ここで見るのなんか三種類しかないからな」
宇髄の言葉に目を見張る。三種類しかないのか。
「鬼殺隊士、隠、患者しかここには滅多に来ないからね。緋縁ちゃんも入院着でしょう?」
「ムゥ…そういえば、隠ってなんなの?前にも言ってたような…」
「あぁ…任務の後の事後処理をしたり隊服を作ったりする部隊のことだ。」
「私たちの隊服は特別な繊維で作られてるから、裁縫係なんてのもあったりするのよ!」
それはすごい…特別な繊維ってのが果てしなく気になる…日輪刀が太陽に一番近いなんたらってのと同じで太陽に一番近い繊維を…まって自分で言ってること分かんなくなってきた。
「お前にも隊服は支給されるだろォ。」
「え、そうなの?」
「と言うか着ろォ。鬼に遭遇しないとも限らねェ。」
「そうね!それならある程度の攻撃は防げるし!」
「なんと…!」
柱がここまで言うのであれば実用性があるのだろう。隊服着れば無敵なのだろうか。それならここにけが人がいる意味が分からないが。
「雑魚鬼の攻撃ならだろ。派手に血鬼術を防げるわけでもないし折られる時だってある。過信しすぎんな。」
「…何が折れるかなんて聞かないからね。」
聞かねぇ方がいいな、と宇髄は言う。