第2章 柱〈前〉
「…認める。」
「え」
不死川さんがポツリと呟く。明日から本気出すとか言ってるやつ認めて大丈夫?言ってて悲しくなってきた。
「お館様に危害を加えようとしてる奴がこんな雑魚じゃ話にならねェ。鬼舞辻の手下でもないだろうよォ」
「ねぇ今すごい失礼なこと言ってるのわかっているかしら。」
「俺に向かって「たまにでいいからここに来たい」なんて寝惚けたこと言う奴がお館様に傷なんか付けれるわけねぇわなァ」
「失礼極まりないこと言ってるの分かってて言ってるわね貴方!宇髄並みに失礼よ!」
「あいつと一緒にすんなやァ!」
「いーえ失礼よ!宇髄な…み…に?」
話す途中でふと疑問に思った。
何故出てくるのが宇髄なんだろうか。
思えばおの鬼に喰われそうになった時も喰われそうになった時も宇髄に助けを求めたような…?
まさか私、宇髄のこと…
「…ゔゔゔ…ないな。あれは流石にない。」
「お前それどっから声出してんだァ」
「鍛錬すればへっちゃらです」
「出来るわけねぇだろうが」
「はー?出来るし!」
「どうやるんだよォ」
「甘味を想像します。」
「おォ」
「その甘味が嫌いな奴の口の中に入っていくのを想像します。」
「…おォ」
「ゔゔゔ…ってならない?」
「…それはただの妬みじゃねェかァ!」
「いいいいっっった!何故叩く!?」
「何が鍛錬だアァ…?」
「胡蝶の真似しただけじゃーん!」
「人のせいにしないでくれませんか?」
ピタ、と体が静止した。
「いるならいると言え!」
後ろで立っていた胡蝶に怒鳴った。なんで柱っていても話しかけてこない奴ばっかなの?いちいち癪に触る人達だなもう。起きた時のシリアスが吹っ飛んだよなんか。感謝したいような怒りたいような。
「胡蝶、世話になったわ。」
「何言ってるんですか。これから六日間お世話になるのに。」
「あ、そうか。」
そうだ、私二日間寝てたんじゃないか。すっかり忘れてた。私が寝ていたからといって日程は遅らせたりは出来ない。柱達の予定に合わせて決めてるからなぁ…。比較的忙しくない日に私を屋敷に置くんだ。まぁ言うて忙しそうだが。宇髄も蜜璃ちゃんも帰ってきてないし。
「宇髄と蜜璃はまだ帰ってこないの?」
「お二人とも帰って来てますよ。自宅で書類仕事をされてます。」
「柱って事務仕事とかあるんだ…」