第2章 柱〈前〉
「お帰りなさい。…お?」
玄関に向かい声をかける。何故か不死川さんの後ろには耀哉さんのお屋敷にいた柱の人。
「宇髄と甘露寺はどうしたァ」
「えっと、二人とも任務よ。帰れないって。その方は?」
「夜分遅くに失礼する!俺は鬼殺隊炎柱、煉獄杏寿朗だ!不死川に用があってな!」
「…そう。」
あぁ、煉獄さんって言うのか。この人。
………あまり、好きじゃない。
二人は不死川さんの自室に入って行ってしまった。あ、夕ご飯食べるか聞くの忘れてた。出て来たときに聞こう。
取り敢えず…本でも読んでいようかな。いつもなら蜜璃ちゃんに鬼殺隊について教えてもらうんだけど…。
「そうか!礼を言う!」
本に夢中になっていたのか急に聞こえた大声にビクッとした。話終わったのか。不死川さんに話に行こうとしてはて、と足を止めた。あれは三人分。ならいっそ煉獄さんも誘えば良いのでは?苦手だけど…食材を無駄にするわけにはいかない。
「…すみません」
「む、どうした、少女!」
「えっと、お夕飯、作りすぎちゃって…もしよかったら、不死川と煉獄、お召し上がりになる、なります…?」
ビクビクしながらで申し訳ないが、聞けたには聞けたのでよしとする。食べてもらえるかは別問題、などと言いつつ、不死川さんは結構気軽にオーケーしてもらえた。断られると思ったんだがね。案外根は優しい人なのかもしれない。
「夕飯か…不死川!良いだろうか!」
「勝手にしろォ」
良いんだ。てっきり断るかと。何はともあれこれでよかった。
三人分を皿によそいお盆に乗せて持っていく。
「薩摩芋の味噌汁か!わっしょい!」
「わっしょ…え?」
「気にすんなァ。」
「そ、そう…」
そんなこと言われてもすごい気になるんだけど。食べててもずっと言ってるし。意外に好評らしく、二人ともいっぱいおかわりしてくれた。お味噌汁をよそって煉獄さんに渡すと、彼は何故か私の皿を見ている。え、何。食べ方きたないかなぁ…そんなことは
「少女!!」
「はっはい!」
考え事をしてるときに叫ばれれば誰だって驚く。脈打つ心臓を抑えて用件を聞いた。
「君は食が細くはないだろうか!」
「…はい?」
無礼だとは思いつつも二人の皿と私の皿を見比べる。明らかに私の分は少ないが、一般的に見たら普通だろう。
「細くないけれど。」