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【鬼滅の刃】あかいえにしは ゆめをみる。

第1章 序章


窓からやって来た男に、私は身を竦ませた。あくまで気づかれない程度に、だが。

「よぉ、邪魔するぞ。」

「…あら、窓からなんて物騒な客もいたものね。」

「はっ、よく言うぜ。それよかお前、異能を持ってるってのは本当か。」

男はそのまま部屋に入り、私に圧をかける。いや、この場合、殺気と言った方が正しいか。

「えぇ、本当だけれど。」

「そうかよ。なら質問を変える。お前、鬼かなんかか?」

「…おに?そんなもの知らな…って、随分と良いモノを持ってるのね。」

男が私に刃を突きつける。廃刀令の時代になんで刀を…刀?こいつの本当に刀か?

それはさておき、これは、もしかしてチャンスでは?





「早く来て!自販機が無くなっちゃう!」

「心配しなくてもなくならないよ…」

歩くスピードの速い親友を追いかけた。向かう先は信号を渡った先にある自販機。

信号を待っている時にやっと追いついたと思ったら信号が青に変わりまた置いてけぼり。こんなとろい…いや、マイペースな私に親友がいるなんて自分でも信じられないが、あの子がどれだけ早くても必ず止まって待ってくれる子だったから仕方ない。

「相変わらずだねー!」

「もう…」

もう飲み物を買っている親友は私を見てけらけらと笑う。イラつくがこう見えて優しい奴だったのだ。

ガタンと自販機からでたサイダーを飲む。

あれは確かに、普通の『幸せ』だった。

でも、『幸せ』は、とっても儚くて脆いものだって、思い知った。

鼓膜を破る程の音が響いて、体が燃えた。熱い、あつい、アツイ。ただひたすらに熱くて、炎が体についているのが嫌で地面に転がり回った。

だれか助けて。熱い、体がちぎれるぐらい痛い。

やがて痛みで動けなくなって、抵抗もやめた。…そうだ、あの子はどうなったの。必死であの子の名前を呼んだ。運命だってあの子は言った。私達が出会ったのは運命なんだって。私もそれに同意するぐらいあの子が大好きだった。だから私達は、死ぬ間際でも繋がれた。あの子と目が合う。パクパク口を開いて…遊んでる場合じゃないでしょ。なんか言ってよ。

だけどそうじゃなかった。私が聞こえてないんだって気付いたから。鼓膜を破る程の音だったが、本当に鼓膜を破っていた様だ。

最期だったのにあの子の言葉が聞こえなかった。

そして、私は死んだ。まだ苦しんでたあの子を残して。
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