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【鬼滅の刃】あかいえにしは ゆめをみる。

第2章 柱〈前〉


何があったのか知らないが、胡蝶は物凄くピリピリ、いや、ビリビリしている。八つ当たりはやめて貰いたいと思うばかりである。

「全く、なんでこう貴方は…」

「あの、しのぶ様。」

胡蝶が改めて宇髄を叱ろうとしたところに蝶屋敷で手伝いをする隊士、神崎アオイが入って来た。宇髄にとっては宛ら天の助けだ。

「緋縁さんが目を覚ました様です。話し声が聞こえたので…」

「あら、そうですか。では伺います。宇髄さん、しっかり反省してくださいね。」

胡蝶が出て行った後、強張っていた体を深呼吸により緩めた。胡蝶め、まるで容赦がない。本当に虫の居所が悪そうだ。

「あ、おい、青いの。」

分からない事は聞くに限るわ−−−−そう言っていた緋縁の言葉を思い出した。それなら自分も聞いてみようではないか。そうして青いのーーなんとも失礼な呼び方だがーー、神崎を呼び止める。

「なんでしょうか。」

神崎は少し不満そうに出て行こうとしていた足を留める。それにこの屋敷の主はなぜあんなにも御機嫌斜めなのか問うた。ただ単に''そういう日''だったら別に仕方のない事だが、と思っていたが、答えは予想外のものだった。

「しのぶ様の妹の事で、少し。」

「妹ぉ?あいつは確か姉が一人のはずだろ。」

「えっと…カナエ様が引き取った子で…」

「あぁ…」

宇髄は今はいないあの女性を思い浮かべた。鬼殺隊花柱、胡蝶カナエ。おっとりとした口調に、長い髪につけた胡蝶しのぶと色違いの蝶の髪飾り。水の呼吸からの派生、花の呼吸を自在に操り、『鬼と仲良くなれたら良い』と言っていた、上弦の弐との死闘を繰り広げ殉職した、柱の中でも変わった女だった。

思えばかの柱合会議の時、妹ができたと悲鳴嶼に嬉々として話していた様な。

(妹がなんかしたのかねぇ。だがあぁも苛立ちを表に出すのは珍しいな…)

胡蝶しのぶという人物は、笑顔を貼り付け、思ってもない姉の願いを自身の願いだとでも言う様に謳う、よく言えば姉の思いを継いだ、悪く言えば姉に依存した少女だ。ああも苛立ちを表すことは、あまり無い。

「宇髄さん、お二人は帰られましたので、早く本題に入りましょう。」

「お、おう…」

説教以外に話すことがあったのか、と思いつつ勧められた椅子に座る。

「緋縁さんのことですが、彼女はあってから怪我をしたことはありますか?」

「いや、ねぇ。」
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