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永遠の恋〜⁂番外編⁂【イケメン戦国】

第8章 偽りの食事会


城門前で待ち合わせをして、皆と一緒にお店へと向かう。
並んで歩きながら、今宵の装いについてお互いに意見を言ったりして盛り上がる。
年頃の女子は、自分の装いにも友達の装いにも興味津々なのだ。

『その簪はどこで買った』だの、『その帯の結び方は珍しい』だのと、殿方が聞かれたら、他愛もないと呆れられるような話が、心底愉しい。


「朱里様、今日の髪型、素敵ですわ!大人っぽく見えますよ」

「ありがとう!普段はしない髪型だから、ちょっと恥ずかしいんだけど……」

褒められたのが少し照れ臭くて、露わになったうなじをそっと押さえていた。

(帰ったら信長様にも見せようかな…ふふ…何て仰るだろう)

浮き立つ気持ちを表すように、足取りも軽く、私たちは城下へと向かって歩いて行った。




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お店に着くと、お相手の殿方たちは既に来ていたようで、席に着いていた。

女子四人、男子四人、それぞれ向かい合って席に座ると、簡単な自己紹介をする。
和やかな雰囲気の中、食事会は始まった。


(んーっ、この煮物、美味しいっ…)

この食事処は、美味しいと城下でも評判の店らしく、素朴な味つけだけど、出される料理はとても美味しかった。
お城で政宗が作ってくれる絶品料理の数々に慣れている私ですら、感心するぐらいの美味しさで、殿方との出逢いは特に重要ではなかった私は、純粋に食事の時間を楽しんでいた。

友人たちの話に耳を傾けつつ、目の前の煮物に舌鼓を打っていた私に、向かい合わせに座っている男性が遠慮がちに話かけてくる。

「朱里さんは、安土城に住んでるの?」

「え?えぇ、そうなんですのよ…」

皆に気を遣わせるといけないと思い、私は北条家の姫だということは内緒にして、安土城に住んでいる織田家家臣の娘ということにしていた。

(えっと…この人は確か、反物問屋の息子さん…だっけ?)

「じゃあ、信長様にも会ったことある?俺、この前初めて会ったんだけど…怖くてひと言も話せなかったよ。やっぱ魔王って呼ばれるだけあるよね〜」

「そ、そうですか?信長様は…お優しい方ですよ。お優しくて、男らしくて、すごく頼りになって、本当は笑顔がとっても素敵で、それから………」

「朱里さん?」

「あ……ごめんなさい」

(やだ私ったら信長様のことばかり…でも今、何だかすごく逢いたい…)

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