第28章 ちぇんじ〜俺が貴様で貴様が俺で
(っ…うっ……)
固く閉じた目蓋の上に眩しさを感じて布団の中で身動ぐ。
「うっ…痛ぁ…」
寝返りを打った拍子にズキリと頭の奥に響くような鋭い痛みを感じた私は咄嗟に眉を顰め、小さく身を縮めた。
思いがけず感じた鋭い痛みに警戒してぎゅっと目を閉じて身体を強張らせたものの、どうやら感じた痛みは一瞬のことであったようで、私は恐る恐る目蓋を持ち上げた。
(んっ…もう朝なの?今、何刻だろう…あっ、えっと…昨日は私、信長様で…)
朧げな昨夜の記憶を手繰り寄せようと、ぼんやりと思考が覚束ない頭をその場で持ち上げようとしたその時だった。
「……起きたのか?まだ早い刻限だ。起き上がらずともよい」
「えっ…あっ…のぶなが…さま…?」
逞しい腕に背中からふわりと抱き締められて、起き上がりかけていた身体は再び布団の中へと引き戻された。
抱き竦められたまま背中から首筋に顔を埋めるようにしてすりすりと擦り付かれる。その甘えるような仕草にトクトクっと胸が高鳴るのを感じた。
(っ…朝から甘い…って、えっ?あれ…?この腕って…あっ、私…元に戻ってる!?)
「の、信長様っ…!?」
「んー?」
気怠げな返事とは反対に、いきなりチュウッと強めに首筋に吸い付かれて、思わず身体がビクリと跳ねてしまった。熱く濡れた唇の感触が昨夜の熱を呼び覚ます。
「やっ、んっ…」
「ふっ…この程度でその反応とは…実に愛らしい。やはり貴様の身体はこうでないとな」
隅々まで確かめるように滑らかに身体を這う手の動きに慌ててしまう。
「信長さまっ…ちょっと待って…っ、身体、元に戻って…んっ、いつの間に…どうやって?」
敏感なところに触れるか触れないかの指先の微妙な動きに身をくねらせながら顔を後ろに振り向けて問い掛ける私に、信長様は涼しい顔で答える。
「分からん。目が覚めたら戻っておった。起きた瞬間、酷く頭が痛んだが…それだけだ」
「あっ、それ、私も…」
(ええっ…一体何だったんだろう?元に戻ったのはよかったけど原因不明の頭痛って…大丈夫なのかな?)
「信長様、あの…お身体は大丈夫ですか?頭の方はまだ痛みますか?」
「いや、大事ない。貴様の方こそ大丈夫なのか?俺が確かめた分には特に変わったところはないようだが?」
「や、ちょっ…そんなとこ…触れないでっ、あっ、んっ…だ、大丈夫ですから…」