第28章 ちぇんじ〜俺が貴様で貴様が俺で
悪戯に身体を弄ってくる手に、心が乱れてぐらぐらと揺れる。
「やっ…もぅ、朝から…ダメですよ」
昨夜感じた男の快楽とはまた違う女の快楽の疼きが、起き抜けの気怠い身体をじわじわと侵食していく。ともすれば流されてしまいそうになりながらも身体に触れる手をやんわりと制止すると、信長は心外そうに眸を瞬かせた。
「朝だろうと夜だろうと貴様を愛でるのに関係ない。昨夜のあれはあれで楽しめたが、やはり貴様の身にはこうして己自身の手で触れたい」
「んっ…あぁっ…」
再びぎゅっと抱き締められて布団の中で足が絡まり合う。肌が直に触れ合うことで、身の奥に籠った熱が伝わってしまうのが恥ずかしかった。
それでも、こんな風に愛する人に求められ、その腕の中に包まれていることがこの上なく嬉しくて何にも代えられぬほどの幸福を感じるのだった。
「朱里、貴様は俺だけのものだ。その身も心も全て…貴様に触れられるのはこの世で俺だけだ。そのように心得よ」
「っ…はい、仰せのままに…」
激しい独占欲を示す信長の言葉と強く抱き竦める腕の力に胸の奥が満たされて自然と笑みが溢れた。
(私も…信長様に触れたい。その身も心も…信長様の全てを私だけのものにしたい)
「信長様、愛しています」
眩しいぐらいの朝の光が射す中で、愛する人に蕩けるほどに愛される充足感とそれ以上に貪欲に愛を求める渇望に突き動かされるように、私は私だけの愛おしい人に愛を乞うのだった。