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永遠の恋〜⁂番外編⁂【イケメン戦国】

第28章 ちぇんじ〜俺が貴様で貴様が俺で


そうして、集中した撃ち合いが繰り広げられ、信長の薙刀さばきも様になって来た頃、稽古の時間は終わりを迎える。

「朱里様、本日はありがとうございました!」

『礼に始まり礼に終わる』の言葉どおり、礼儀正しく挨拶をする女子達に対して、信長もまた満足げに表情を緩める。

(女子相手の鍛錬など、どうなることかと思ったが…存外充実した時間であったな。元に戻ったら、朱里が薙刀を振るう姿も見てみたいものだ)

予想外に充実した鍛錬の時間に満足した信長は、役目は果たしたとばかりにさっさとその場を去ろうとするが……

「さぁ、朱里様、この後はお茶に致しましょう!」

(……は?)

「本日はお天気も良いですし、お庭を見ながらのお茶に致しませんこと?」

「あら、いいわね。私、お団子を買ってきたのよ。城下で評判のお茶屋さんのよ」

「まぁ、それは楽しみね!朱里様、さぁ、参りましょう!」

「は?あ、いや、それは…」
(稽古の次は茶だと…しかし評判の団子とやらは気になるな…)

稽古の疲れをものともせず、女子達はきゃあきゃあと楽しげな声を上げながら賑やかに道場を後にする。
その切り替えの速さに呆気に取られながらも、あれよあれよという間に信長は女子達に囲まれて女同士のお茶の時間に参加する羽目になったのだった。


「さぁ、どうぞ召し上がって下さいな」

「うむ…」

差し出された皿の上にはたっぷりの餡子を纏った串団子があった。
信長は遠慮なく手に取ると早速に頬張った。噛むほどにもっちりと弾力のある餅と程良い甘さの餡子が口の中で合わさって、何とも美味い。鍛錬で疲れた身体に甘さが丁度良かった。

「ん、美味い」

団子の美味しさに思わず口元を緩めて感想を述べる『信長』を見た女子達は、その表情に皆揃って目を奪われていた。

「ねぇ、今日の朱里様、何だか妙に艶っぽいわね」

「ご覧になった?団子を召し上がる仕草…女の私が見てもドキッとしちゃったわ。普段から麗しい方だけど今日はどうしてあんなにも色っぽいのかしら…?」

ほんのりと顔を赤く染めてチラチラと意味ありげな視線を向けてくる女子達に構わず、団子を頬張る信長は当たり前だが自分の仕草になどまるで無頓着で、口の端についた餡子を無造作に舌先で舐め取る。

その何とも言えない艶めかしさを醸し出す仕草に、女子達がほぅっと息を呑むのにも気付かず……



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