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永遠の恋〜⁂番外編⁂【イケメン戦国】

第28章 ちぇんじ〜俺が貴様で貴様が俺で


ざわつく武将達を見て、朱里は血の気が引く思いだった。

(あぁ…やっちゃった。つい、いつもの自分の口調で喋っちゃったよ。秀吉さんだけじゃなく皆にも不審がられてるみたい…こんなのどうやって誤魔化したらいいの!?)

大事な軍議を中断させるわけにはいかないと思い慌てて声を上げてしまったが、それが裏目に出てしまったようだ。
武将達の何とも言えない緩い視線が居た堪れず、許されることなら今すぐにでも逃げ出してしまいたかった。

「あ、あー、その、御館様?何かお困りのことなどおありでしたら遠慮なく仰っていただいて…この秀吉、御館様の御為ならばどのような事でも致す所存で……」

(うぅ…秀吉さん、戸惑ってる。やっぱり無理だよ、私が信長様になりきるなんて…分かってたことだけど私には敷居が高すぎた。これ以上『信長様』が変に思われないように…もうこうなったら皆に正直に打ち明けるしかない!)

「あ、あの…」

「ほぅ…秀吉、随分大きく出たな。どのような事でも、とは大層な自信だな」

ニヤリと意地悪めいた笑みを口の端に浮かべた光秀が、忠義一徹のような秀吉の言葉を揶揄うように挙足を取る。
光秀の思わぬ切り返しに話の矛先が変わり、真実を打ち明けようとしていた私も思わず口籠もってしまった。

「当たり前だ!御館様のお望みはこの秀吉が全て叶えてみせる」

「ほぅ…全て、とはな。これはこれは…常日頃、御館様のお望みを阻止している者の言い様とは思えんな」

「は?光秀、てめぇ、それはどういう意味だ?俺が御館様のお望みを阻んでるだと?冗談も休み休み言え。俺はいつだって御館様の御為に…」

「『金平糖を取り上げている』か?」

「……へ?な、何でそこで金平糖が出てくるんだ!俺は別に取り上げてるわけじゃない。全ては御館様のお身体のためを思ってのことだ!」

「ほぅ、大した忠義だが、御館様ご自身はどう思われておるやら…」

鼻息荒く反論する秀吉に対してどこまでも涼しい顔の光秀は、悪戯っぽく片目を眇めて上座の信長を見る。
話の展開が予想外の方向に向かっていることに戸惑っていた私は、光秀さんからの意味深な視線を受けて慌てて居住まいを正した。

(よ、よし、ここは信長様らしく何か言うべきよね!ええっと、信長様らしく…)


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