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永遠の恋〜⁂番外編⁂【イケメン戦国】

第26章 あなたに恋して


「ごめんなさい…大事なお仕事だと分かってはいるのです。でもっ…やっぱり…信長様が女人と一緒にいらっしゃるのを見るのは辛くて不安で…冷静でいられなくなる。自分でもこの気持ちをどうしたらいいのか分からないのです。ごめんなさい…子供みたいな我が儘を言って…」

「いや、貴様を不安にさせた俺が悪かったのだ。今後は貴様に隠し事はせぬ」

「信長様……」

宥めるように、ちゅっと額に口付けられる。
軽く触れるだけの優しい口付けなのに、唇が触れたところからじんわりと熱が広がるように身体が熱くなっていった。
もっと深く信長様を感じたくて、身を起こし自分から首に手を回して抱き着く。

「っ…朱里っ…」

「信長様っ…抱き締めて下さい。強く抱き締めて…離さないで」


雨音はいつの間にか聞こえなくなっていた。
障子越しの外が僅かに明るくなってきていたが、熱くなり始めた身を今更離すことなどできなかった。

割り切れぬ思いはあったが、今はただ、この熱に溺れていたかった。





「雨…上がりましたね」

乱れた髪を直しながら、いまだ熱の冷めない気怠い身体を起こす。
先に着物を整え終え、障子を少し開いて庭を眺めていた信長様に声を掛けた。

庭の木々は雨粒にしっとりと濡れ、雨上がりの夕陽が射していた。

「ああ、もう夕暮れ時だ。久しぶりの逢瀬だったのに…悪かったな」

すまなそうに眉根を下げる信長様に、慌てて身なりを整えて居住まいを正す。
そんな風に謝られるとは思ってもいなかったので、戸惑ってしまった。

「いえ、そんな…私が勝手に帰って来てしまったせいですし…」

久しぶりの逢瀬は思わぬ形になってしまったが、信長様の優しさに触れ、心は少し落ち着いていた。

「次は貴様の為だけに時間を作ることを約束する」

「ふふ…」

真面目な顔で宣言する信長様がおかしくて、思わず頬が緩んでしまう。

(信長様は誰の目から見ても本当に素敵な方だから…きっとこの先何度も嫉妬したり落ち込んだりすることがあるだろうな。でも、これからもずっとお傍にいたいから…私も頑張らなくちゃ…)

「信長様…」

そっと傍へ寄ると、胸元へ抱き寄せられる。
トクトクと規則正しく聞こえてくる信長様の心の臓の音が耳に心地良く響き、私を安心させてくれる。

「朱里…」

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