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永遠の恋〜⁂番外編⁂【イケメン戦国】

第20章 お返しは貴方の愛で


「くくっ…これはご無礼を致しました。心配性の秀吉のことはお気になさらず。御館様の思うままになされるのが宜しいかと。朱里が喜ぶ宴になるよう、我らも力を尽くしましょう」

皆が光秀の言葉に同意するように深く頷いている。
秀吉だけは、それでもやはり信長のことが心配なのか、複雑な表情を隠し切れぬままだったが、朱里の喜ぶ顔が見たいのは秀吉もまた同じだった。

皆が朱里を喜ばせたいと願う気持ちを強く感じ、信長は脇息に凭れたまま満足げに口元に笑みを浮かべた。

(朱里……『ばれんたいん』の菓子の返礼に、貴様をとびきり甘やかしてやろう。貴様の喜ぶ顔を見ることが、俺にとっても、この上ない喜びになるのだから…)



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宴の日当日の昼過ぎ

信長は政宗とともに厨で宴の料理の準備をしていた。

「それでは、信長様にはまず朱里の好物の一つ『根菜の炊き合わせ』を作っていただきます。なに、野菜を切って柔らかく煮るだけですから簡単ですよ」

「うむ」

「それから、今日の飯は『筍(たけのこ)飯』にしようと思ってます。筍はちょうど今が旬だし、朱里も好きですから」

「ああ、春らしくて良いな」

「じゃあ、まずは野菜を洗いましょうか」

政宗が示した竹籠の中には、里芋、蓮根、人参、大根など、まだ土が付いたままの野菜がゴロゴロ入っていた。
筍などは外皮に覆われた収穫したての新鮮な状態で大きな存在感を放っている。

「………これは、どこまで皮を剥くのだ?」

政宗に言われるがまま、筍の外皮をバリバリと勢いよく剥いていた信長だったが、剥いていくうちにどんどん小さくなっていく筍に一抹の不安を感じていた。

「はは…もうそのへんで大丈夫ですよ。じゃあ、次は米を研いで下さい」

「米を…研ぐのか…?」

(この筍はもういいのか…?次は米を研げ、だと?随分と忙しないことだな…)

信長に色々と指示をしながらも、政宗はテキパキと別の料理の支度に取り掛かっている。
要領よく立ち回るその様子に感心しつつ、言われたとおりに米を研ぐ。

信長にとっては、米を研ぐのも初めての経験だった。

澄んだ水があっという間に白く濁る。
新しい水にかえるため、信長が濁った水を流しに捨てようとすると……

「ちょっと待ったぁ!それ、捨てないで下さい!」

「………は?」


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