第14章 朝までずっと
着物の上から触れていた手が、自然な動きで帯にかかる。
あっと思う間もなくシュルリと引き抜かれた帯は、床の上に無造作に落とされ、きっちりと着付けられていた着物の前が頼りなく緩んでしまう。
「んっ…やっ…」
「冷えた身体を暖めてやろう。どのみち朝まで出られぬのだ、冷えたままでは風邪を引く。夜が更ければ、ここは益々冷える。朝が来るまで二人で暖を取る手段は……1つしかなかろう?」
「なっ…」
(いやいや…そんな理路整然と言われても…って、朝まで!?朝までするおつもりですか?ここで!?)
目まぐるしい展開に混乱している内に、着ていた着物はさっさと脱がされて床に落とされていて、気が付けば襦袢一枚の頼りない格好になっていた。
部屋の寒さにふるりと震えが走る。
「ああ…震えているではないか。可哀想にな」
「んっ…誰のせいでっ…あぁっ…」
私の上げる抗議の声を当然のように無視した信長様は、襦袢の腰紐までも一気に解いてしまう。
緩んだ袷にするりと滑り込んできた手に、鎖骨の辺りを撫でられると、それだけで身体が敏感に反応してしまう。
肌が外気に晒されて、冷んやりとした寒気を感じているはずなのに、身の奥から急速に燃え上がる欲情の熱が身体中を熱くする。
「やっ、んっ…ダメっ…あ、ンッ…」
ーじゅっ じゅぷっ…じゅうぅー
首筋に吸い付く熱い唇の感触に、力が抜けてしまいそうになる。
じゅっじゅっと強く吸い上げられる中、チクッとした痛みが走る。
軽く歯を立てられたようで、噛まれたところからじんわりとした痛みが広がっていく。
肌に直接触れる信長様の熱い手は、鎖骨から下へと滑り降りていき胸の膨らみを鷲掴むと、下から上へと持ち上げるようにして揉みしだく。
時折、尖った先を指先でキュッと意地悪く摘まれて、乱れた声を上げてしまいそうになる。
「ああぁっ…ンッ、ふっ…ンッ…」
「良い声だな。唆られる。我慢せずともよい…ここなら、今は誰に聞かれることもない。存分に乱れてみせよ」
信長様は妖艶に言うと、口元を押さえた私の手を強引に引き剥がし、わざとらしく指先を口に含んで舐め始める。
視線を合わせたまま私の指先をピチャピチャと舐める信長様は、ひどくいやらしく艶っぽかった。