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欠落の風雷暴

第33章 31.


ドンッッ、と爆発するように、私の周囲の瓦礫が砕けて弾け飛んだ。
私の周りに触れる瓦礫はない。でもあちこち身体は痛む。細かい瓦礫の破片はポツポツと降ってくる。何度も使いたくはない、結構疲れる一発だ。
ゆっくり立ち上がり、実際の目で周りを見た。

「ハルカか……生きていて良かったのだが、出てくるタイミングが悪かったな。今、この場に居るヒーローは俺達しか居ない」

血を流し、ボロボロにされているタツマキを庇うようにジェノスが立っている。私はどうやら、その2人の少し近くに埋もれていたようだ。
タツマキに合流しようとしていたヒーロー達は一体どこに居るんだろう?瓦礫の下?それとも別の場所?私が瓦礫に埋もれる前に行動していた、アトミック侍やアマイマスク…ゾンビマンも見当たらない。

頭上の瓦礫に手を向けて瓦礫が私や仲間に直撃しないようにする。もたもたとタツマキの前に、ジェノスのように立ちふさがった。

「あなたにも無理よ。鬼サイボーグ。どこかに居るフブキと、そこの風雷暴を連れてここから退きなさい」

私は手で制止して、逃げる事をしない意思を現した。
右手の二の腕から蒸気を出していたのが今、治った。疲労は蓄積されていても、体は大丈夫。補助程度でも、治るなら…盾にもなれる。
ボロボロの2人を残して、体が平気なのに逃げるなんて命令に背いてでもしたくない。

『私は…何度だって挫折しようとも、何度だって自分に失望しようとも、それでも立ち上がって前へ進む。それがヒーローだって、学んだから…』

私が追加で貰った力は主力の力ではなく、あくまでも補助。
能力や再生力を活性化させる為の…、生理的欲求を満たすための簡易的な方法、栄養補給は無いにも等しい(ポンチョはどこかに飛ばされているし)人数的にも体力的にも不利だ。分かってる。
怪人側に立つ女が、ニヤリと笑った。

「風雷暴…?ははは、先程の風を使ってた奴だな?風神のしくじりが、そこのお前か?たかが風神程度を倒したくらいでお前に…あんな風神のクローン如きに、我々が倒せるとでも思っていたのか?笑止!」

汚い笑い声と、罵声。黒い精子達もケタケタと笑う。

『風神を、馬鹿にしたな…?』
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