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欠落の風雷暴

第33章 31.


『……うっ、ぐぐ、』

なに…なんか、うえ、さわがしい、な…?

意識がぶっ飛んでいたようだった。
あちこち痛い、腕が挟まっていた…けど折れていない。ただ肉が潰れていただけみたいだ。
そうだ、共闘していたんだ。それで、タツマキを直に狙おうとしたサイコスを追って…いや、爆発する光の玉を打ち出す男から遠ざかる為に塔の側に来たというのに、あいつ…ここまで追って来られたんだ…。

光の玉の破壊力は凄まじく、大きな塔を半分程崩していた。もしかしたら意識が飛んでるうちに全壊しているのかもしれない。その瓦礫を避けきれずに、私…。

テトラポットの中にいるような、薄明かりの差し込む瓦礫の中で重たい身体を僅かに動かす。右手、左手。ちゃんとある。手先は動かせるけれども、右手の二の腕辺りが肉が出ているくらいだ。今日は人生で一番痛い思いをしている日じゃないのか?いや、風神を注がれる前の片手をミンチにされる時が一番痛かったかも。もはや痛みのキャパシティーを超えて"痛い"、それ以上の表現ができない。痛みを感じる事にさえ、イラつく。
両足は大丈夫だ、かすり傷はあるけれど、修復してきている。あちこちから再生する時の蒸気が出ている。

今飛び出るのは得策ではない。だからこそ、風神の力を使って情報収集をする。
目で見えずとも、会話を拾えるし位置が分かる。風神の力は第六感になるというわけだ。瓦礫の隙間からそっと息を吹いて、外に風を送った。

……タツマキやジェノスが居る。ジェノス、大丈夫だったんだ。
それから、複数の怪人。ああ、これは地下で黒い精子という、一度遭遇したやつだ。光の玉を使うやつ以外も参戦してきているのか。私がボロボロにされた水のやつもいる。いくらかダメージを負っているのか、私がやった時よりは縮こまっているようだ。力は抑えられている。
そして"サイコス"が居る。

ガララ、と周囲の細かい瓦礫が僅かに崩れる。
そっと手首を動かし、上に手の平を向ける。集中させて、風神の力を放った。
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