第31章 29.
ガチャガチャとクロビカリが一歩進むごとに金属の触れ合う音が鳴る。
そして空中に高く、その束のまま打ち上げると、プリズナーは槍の柄…彼いわく、ヤリの尻目掛けて振りかぶっった。
「エンジェル☆マシンガン!!」
…作戦時に彼は言っていた。
エンジェル☆マシンガンとは、ジェノスの技、マシンガンブローからも貰っている、つまりは共闘…だな!と。
そんな言葉を心で流していくと、まるで流星の様に、真芯を捉えられた槍は怪人達のボスの元に降り注いでいく。手に刺さらないかハラハラしたけれど、鉄のほうが柔らかかったのか、彼の拳にはほんのりと赤くなっているだけで傷は見当たらない。
奥では先程跳んでいったふたりがこちらを確認して奥の方へと飛ばされていく。
「よし、最後にこいつを投げて俺達は避難か……ぬん!」
残った一本をタンクトップマスターが思い切り投げた。
槍の雨を追う一本。これで中継点の準備は完了だ。距離を伸ばしていく槍を見送って、童帝君は私に振り返った。
「ハルカさん、そろそろスタンバイお願いします!」
『ん、了解』
両手をその方向へと向けて、高めていく。
バヂッ、と大きな音を立てた後に体表を青白い光が弾けていく。周りのフブキ達が離れ、避難していった。
「第二弾追撃お願いします!」
瓦礫の影からの声で、槍の流星を狙って雷を放つ。
ドン、と音を鳴らし大地と空を青白く照らした雷撃は、私の意思を引き継いで飛んでいく。いつもよりも集中力が増しているような気がする。フブキのお陰なのかもしれない。
私から一本の槍へ、そこから槍の群れへ。その群れで軌道修正して、より敵に近い槍から、現地にいるアマイマスクの投げる槍へ、そしてゾンビマンへ。
あの持たせてある一本は敵により最接近した状態でのトドメの場所だ。ゾンビマンは死ぬことを前提として向かっていった。
だからこそ、作戦会議中に、"俺を信じて、手加減せずに迷わず殺せ"と伝えてきた。自分からその役を受け入れたのだ。