第31章 29.
雷神の力で、コンクリートから突き出す鉄筋を溶かしてへし折り、風神の力で先端をネジ状に鋭利に仕上げていく。
バチンッ、バリリという雷鳴とゴオォ、という風の音。ここだけ暴風域の中のようだ。ありったけの鉄筋を槍へと仕上げていく。
「鉄骨を空中に投げるぞ、メンバーは乗れ」
「おうよ、じゃあ一発目やってくれ」
タンクトップマスターは、赤い塗料が少し禿げている鉄骨…に、捕まるアトミック侍を乗せた状態で軽く投げる。
真っ直ぐに跳んでいく鉄筋の上、空中からあの戦闘機へと攻撃を仕掛ける。割と近い距離ではあるけれど、避けられていく。
ジェノスと駆動騎士の攻撃でボディの大部分が破壊されているようには見えるけれど悪あがきでもしているようだ。かなり速度は落ちているとは思う。
「第二段階、行って下さい!」
「よし、鉄骨をもう一発投げるぞ」
童帝君が言うと、アマイマスクとゾンビマンが前に出た。出来上がった槍を手に持たせてある。
先程よりは僅かに短い鉄骨に片手でしがみつき、顔に不安だという表情を貼り付けてアマイマスクはこちらを見ている。
「本当に僕達には危害が無いんだね?」
『きちんと意識して攻撃するんで、槍と敵だけに行くようにはします』
「腹ァくくれよ」
「僕は不死身では無いんだぞ」
アマイマスクが多めに槍を持っている。
ゾンビマンはたったの一本。コレが意味するものは。
「打たれ慣れてる俺には雷もイイもんだぞ」
「……はぁ?君の変な性癖に僕を巻き込まないでくれないか?」
「ストップ、今は口喧嘩してる場合じゃあ…っ」
童帝の制止も虚しく、タンクトップマスターの鉄骨投げをされたふたりは宙の中でも口喧嘩を繰り広げられている。
絶賛槍生産工場となっていた私は、たっぷりと作り終えてプリズナーに槍を託すべく、一本を残し纏めた槍をクロビカリに持ってもらった。
「じゃあ、俺はこのまま空中に纏めて投げるんだな?」
「これだけあればヤリも降らせられるなっ!」
「(この人変な言葉に変えてるんだよなぁ…)と、とりあえず、クロビカリさん、プリズナーさん、第二段階の中継点をお願いします!」