第30章 28.
私の側でフブキに強化をされながら、ゾンビマンはボソリと私に確認する。回復用の食べ物の在庫はあるか、と。
ジーナス博士にはポンチョ型のレインコートに多くのレーションを仕込まれた。そのポンチョは水の怪人と戦った時に紛失している。けれども、今着ている服にも仕込まれている。右手で服を叩き、在庫を確認した。奇跡的に一本だけある。
『…あと一本だけある』
「お前は俺が何言っても怪我を負うような無茶をするんだろう。だが一つだけ言っておく、死ぬ為の無茶はするんじゃねぇ」
『別に私、死ぬ為の無茶なんて、』
「ジーナスの所に辿り着いた時は臓器損傷と腕の欠損だけだと思ったか?死ぬ手前だったからこそ、馴染んだんだ。
里帰りは助かるための無茶じゃねぇよな、あの時点で助かる方法をお前は知らなかった」
『───っ』
言葉が追い詰めていく。
「怪我はしても良い、どうしようもねぇからな。だが、死ぬ事を前提とした戦いはやめろ。その一本の食料を摂取以降は、自己再生力を頼るな」
『…はい』
風神の力で読み取るのは先頭の機体に飛び移るジェノス、駆動騎士が攻撃の為に力を集中している、という所だった。
「作戦会議の続きと行こうぜ」