第30章 28.
時々塔や、空中戦を繰り返すふたりを見上げながら会議をしていく。
「おお、そういえばこの姉ちゃん、肉体強化も出来るぞ、その援護にはワシらも助けられてな。やってもらっとくのも損はしないぞ」
「…はぁ、肉体強化といっても少し程度だけれど、」
バングは腕を回してフブキを指す。その紹介を受けて、タンクトップマスターにしがみつくフブキ。
「……はい、これで強化したわよ、それから…お姉ちゃんに何度か呼びかけてみて、意識が今、戻ったみたい」
一人ずつ強化を施していく。強化の終わったであろうタンクトップマスターは腕を回して調子を確かめ、なるほどと呟いた。
かなり調子が良いのか、こくこくと頷いている。ヒーローネームの元となるタンクトップも撫で回している。
多分、そこは強化はしていない、と思う…。
強化されていくヒーロー達を見ながら、自分の中で何か良い案がないかな、と考える。斜め後ろからゾンビマンに声を掛けられたので振り返った。
「なあ、ハルカ。お前索敵出来るだろ?駆動騎士と怪人協会の親玉が今、どこに居るか分かるか?」
『ちょっと待ってて…、』
ぴゅう、と吹かせた風が、このZ市の瓦礫の裂け目…、トンネル内を吹き抜けていく。第六感としてここから見えない、聞けない情報を手繰り寄せる。
加速しながらに攻撃をし合い、通路をまた別の力が攻撃している。超能力の類…、先頭の方を狙っているみたいだ。
『あっちの方の瓦礫の裂け目、トンネル内に居る。駆動騎士と、多分タツマキの攻撃が先頭の逃げる機体を狙ってるけど器用に避けてるみたい……
ん、今は高架下に出た所、路上をジェノスが追跡してる』
詳しく知る為にその方向に手を伸ばして、継続的に情報を得ていく。
その差し出していない、私の右手にフブキは手を触れて肉体強化をしていく。
頭を押さえるアマイマスクが苦しそうに言葉を絞り出した。
「己の肉体で戦う者が多い状態…、相手は高速で動く機体だ、おびき寄せるか、それとも近くに行くかの選択だ」
「両方って手段もあるじゃろ、投げたり飛ばしたりしてもここに居る連中はそう簡単にくたばらんじゃろ」