第4章 2.
「それでも今では言い訳や、後付のような言葉になってしまうが、確かに娘として迎え入れたのは本当だ。私の代わりに君が様子を教えてくれるだけでもありがたいよ」
「ははっ、そうかよ。そんな短い期間でも親バカになる時はなるんだな」
俺だってそうだ、短い期間の知り合い程度のやつが、久々にあったら気になる存在となって燃えるように愛してしまった。
あいつも答えるように愛し返して、互いに居て安心し、体の相性もなかなか良く、何というかそれとなくというか、強欲にも更に上の関係になりたいとも思えている。
すごく良いタイミングでハルカが画面に移った。豚のような見た目で網タイツを履いている敵に果敢に切り込み、電気を放つ。風を靴裏から噴射して攻撃を回避して止めを刺しに行く。
切れよく戦う姿はハルカよりもランクが上の俺でも惚れ惚れするほどだ。S級にはほとんど男というむさ苦しいなかの華でもあった。
そのシーンをジーナス博士はじっと見ていた。手元に居た養子はもう届かない、せめて画面を前にして拝むしか無い。
例え住む家を知ったとしてもきっとこいつは迎えにも会いにも行かないだろう。ハルカから来るのを待ち望んでいる。
「……随分、無茶をしているね」
「そうか?いつもこんな風にバリバリと、毎日欠かさず戦いに行ってるぜ。体力には自信があるんだとよ」
ずず、と俺は茶をまたすする。
怪人が倒れ、砂煙にむせるハルカもまた可愛らしい。
どうやら時々ドジな一面があるようで、ネットの書き込みによると、銀行で自分の降ろした金額の厚さに驚いてATMを壊したのだという。なんて可愛いやつなんだ。
それを知って、からかえばデートの時の服を買いに行く前にやらかしたと。これまた、かわいい。しかもフブキや、なんとタツマキと買い物をし、結構際どい下着を買っていて、それを着けていた時の夜は一段と激しく盛り上がった。ただ、それ以降その際どい下着は着てくれない、恥ずかしいんだろうか?
思い出しながらうんうん、とあの時のセックスを思い出し、煎餅をかじった。
煎餅は硬く、ボリボリと音を立てて咀嚼をした。ふと博士の方を見ると、何かに気づいたように目をかっぴらいて画面が切り替わってもテレビを見ていた。
「……博士?」