第29章 27.
「大方ワシが、元弟子のガロウに対して甘さを捨てきれんと危惧してのことじゃろう。ふふ、戦果だけ見ればそう疑われても仕方ないからのう。
心配には及ばん、ガロウはワシの拳で責任もってしずめてやるわい」
「ハルカ、あなたしばらくサイタマの部屋で見ないと思ったらここに来てたのね…?」
少しばかり、焦るようにフブキが言う。久しぶりの再会というには、こちらも様子がおかしく焦っている。
『前よりも強くなって帰ってきた、というか…』
恋人と揉めた事や、死にかけたことなんて悠長に言ってられなさそうだ。簡潔に強くなったとそう伝えるとフブキは、私の足元から顔へと視線を移し、そう、と返事を返してきた。
確かに以前よりは強くはなれた、と思う。長時間の戦いでボロボロではあるけれど。
「あなたもよほどの戦いだったのね…」
『フブキも…。私もまだ戦えるから、一緒に戦おう』
「そうね…、」
そう言ってフブキは塔を見上げる。僅かに緑色を纏う人物を。
そうだ、フブキが焦るのも無理はないはずだよね。恐れながらも、たった一人の姉だ。その姉、タツマキは未だに過酷な戦いの中心にいる。
「あなたにも、是非とも協力して欲しいの」
『ん、もちろん!』
無事に戦いを終えたら、また一緒に食事をしたり買い物へお出かけでもしよう。
その時に、また恋愛相談も乗ってもらいたい。とても貴重な同性の友だ。
私はその冷えた両手を握った。