第29章 27.
「それで、どう攻めていく?」
タンクトップマスターが言うと皆が口を閉じる。なんといっても、メンバーがメンバーだ、確実な戦闘法があればとっくに皆試しているはずだ。
それぞれが打開するための考えに耽る中、瓦礫の上を移動する音。ザッザッ、と砂利を引きずる音を立てやってくる方向へ、視線を数人が移し私も一緒になってその方向へと振り返った。
「よォ、奇遇じゃな。ワシらも混ぜてくれよ」
ニッ、と不敵に笑うバングを先頭に、左に見知らぬご老人、そして右にフブキ。
タンクトップマスターに続いての、3人もの増援だった。
「バング!」
「バングさん!?」
『フブキ…!?』
突入メンバーには居なかったのに、何故居るのかは分からない。けれども、顔や服にかすり傷や汚れなどある。別件か、それとも既に突入していたんだろう。
やって来る3人を前にして、童帝君の様子が少しだけおかしい。焦っている…ような。
「ど、どうしてここに…!?」
「フフ、メンバーから外した筈なのに不思議かね?」
何?とアトミック侍が疑問を投げかけた。
どうやら、メンバー選抜は童帝が選び、理由があってのメンバーを外す忖度があった模様で。
「どういう事だ童帝!?バングの不参加は連絡がつかなかったからじゃなかったのか」
「う…そっその、これには理由が…」
ふーっ、と息を吐き出すバング。肩も落とし、その立派なひげが吐息で揺れた。