第28章 26.
送電線は勝手に飛んできたわけではない。飛んでくる物に掴まっていた人物はくるくると縦回転して瓦礫に着地した。
「応援に来た。タツマキはこの上か?」
「タンクトップマスターさん!」
「…首尾は?」
「おかげで上々になりそうだ」
「よく来てくれたぜ!!」
「……ん?」
それぞれが心や身体に"満身創痍"という状態に、新たな戦力ときた。
タンクトップマスターの元に集まるように、それぞれが集まっていく。
それを見ていると肩に手を置かれ、その手の主を向く。緋色の瞳と視線が合った。
「ハルカ、お前も回復が終わって充分な戦力だ。だが、無茶はするなよ?あくまでも俺が分けたのは"補助にあたる"部分だ、再生するからと、俺みたいな"主力のモン"と勘違いするんじゃねぇ」
『……分かってる。それが分かっていてのこれなんだ、これから戦う相手は無茶をしないといけない相手って事なんだよ…』
ハァ、と呆れたため息を吐かれて、作戦会議の始まる中心へと背を軽く押されていく。
「アマイマスク。ただの口だけヤローかと思ってたが、少ーしだけ見直したぜ」
二人並ぶと、アマイマスクが少しだけ身長が高く、ゾンビマンは顔を上げてアマイマスクを褒める。
その言葉を聞いて、アマイマスクは顔を僅かに歪ませた。
「何だ急に?やっぱり不気味な奴だな」
「はっはっはっ」
『童帝くんも来なよ』
「あ、はい!」
手招きする私にちらりと私の隣のゾンビマン、その隣のアマイマスクが視線を移し、前方に目をやった。
後ろから駆けてくる童帝。
「フン、装備を残らず敵に消し飛ばされ、その状態で恋人に会って早々に局部を蹴られるマヌケに期待もしていないが、せめて足は引っ張るなよ、ゾンビマン」
「おー、まかせろ醜態仮面」
…。
こちらで決定打が先にぶちこまれそうな所で、間に合った童帝が必死に止めに入ったのだった。