第28章 26.
『……ん?』
「どうしたよ、風雷暴」
風に乗って何かが襲来する気配がしたため、私は反応をしたんだけれど。
上空を気にしている私に、アトミック侍はこちらへと寄ってきた。
『なんか、来るな…?』
「ほぉ…?でかした、"あいつ"には攻撃すんなよ、風雷暴の」
見上げる。そしてアトミック侍はそのやってくる飛来物に視線を向けてニヤリと笑った。
「よォし、それじゃ俺達も連携プレイでアレに決定打をぶち込むぞ!!」
「え!?」
「連携…!?」
今まで静かだったヒーロー達がざわついた。
そして口々にアトミック侍について語りだす。語らずには居られなかった。
「あの唯我独尊のアトミックさんが…」
「俺達に尻を許すなんて…」
「なんか変なモンでも食ったのか」
『信用ないの?』
「拾い食いは良くないよ」
「てめェら全員叩ッ斬ったろか!」
皆が皆、その提案を出す人物に信じられず、ましてや弟子であるイアイアンですらも心配している。
「師匠…!!どんな心境の変化が…」
「フン!今回限りだ!オレはオレの認めた強者としか組まんからな!」
『けど、普段S級の人ってソロ活動ばかりで組まないんでしょう、具体的にはどう連携を?』
ようやく両腕とも修復し終わり、博士が服にねじ込んでくれたレーションを取り出す。ピッと開封した後、次第に大きくなってくる、飛来物が空を切る音。それに向かってアトミックは指を差す。
大きくそびえ立つ瓦礫に刺さるのは送電塔。ドガァ、と盛大な音と共に飛び散る瓦礫の破片。
パッケージから取り出したレーションに齧りつきながら、指先でここに居るヒーローに当たらないように風で払った。