第27章 25.
プリズナーに言われて、クロビカリは震えながらそっと自身の右手を見つめている。
「その震え…それは筋肉が泣いているんじゃないのか?こんな所で体育座りする為に鍛えた訳じゃないだろう!?」
恐怖での震えか、悔しさの震えか。どっちが勝っていたのだろう。ブルブルブル、と未だに震えている。
クロビカリはギュッとその拳を握りしめ、見つめている。
「その身体は自分に克ってきた証だろ。弱い自分を絶対に許すな。
…ボクも同じだ。何度、挫折しようと何度自分に失望しようと立ち上がって前へ進むんだ。
──それがヒーローだ」
私は、アマイマスクの言葉が突き刺さった。もしかしたら黙って聞いているヒーロー達も身に覚えがあったのかもしれない。
誰もがそのやり取りを聞き、否定などせず、見守った。
「さあ、超合金クロビカリ。キミの筋肉《プライド》は何て言ってる」
呻く声と共に"立たないとディープキスするぞ"というプリズナーの声。
「うおおアアアアアッ!このまま終わってたまるか…!!」
折れた金属は熱せられ、また強くまっすぐと立ち直った。