第26章 24.
ふらふらとした足取りで、他のヒーローの集まる場所に寄っていく。
異質な光景だ…露出率が多い。これでもヒーローであって彼らにも誇るべき戦いがあったでしょうけど…童帝くんの教育には悪いんじゃないか?と脳裏に浮かぶけれど今はそんな無駄口は叩けない。
『がはっ、』
呼吸に絡む液体に、うっ、と呻いて歩きながらに吐血をした。ビチャ、という音と血液が口から飛び出る。吐き出した先の瓦礫が血で真っ赤に染まった。
「ハルカさん!酷い怪我じゃないですか!?手当しないとまずいですよ!」
フーッ、フーッとまだ戦闘中の昂りが残っている。それでか再生がし辛く、出血量も多い。血が足りなくて頭が痛い。
再生力は遅くてもまだ死ぬことはしないみたい。
オロオロとする童帝と、プリズナー…って、アップリズナーについては下を見ないようにしなければ。ゾンビマンよりも立派なものが見えてしまい、視線を反らす。再生力のリスク、生理的要求のひとつがここで働いてしまったらやっかいだ。
しかし体躯に合わせたサイズに驚愕した…いいや、私は、見ていない。
「ハルカちゃん、止血するんだ、シ・ケ・ツ!」
足場の悪さと貧血、頭痛でよろけて転びそうな所、ゼンラマンが目の前に立った。
肩に懐かしい体温が乗ったので顔を見上げた。
「よくやった。が、無茶をし過ぎだな。とりあえず休め」
『その、前に…フー、…一つだけ、』
「あ?なんだ?」
肩で呼吸をしながらふらふらと、一歩半下がる。
力いっぱいに、恨みや怒りを込めて思いっきり股間を蹴り上げた。
ボグ、という鈍い音と何かが一つすごい勢いで遠くにピョンと飛んでいく光景。そして顎が外れそうなほどに開いた口、目が飛び出そうなほどに驚いた顔は忘れない。
「ぐ、ぐああ…っハルカ、おまっ!~~~っっ」
「なな、何やってるんですか、ハルカさん!駄目ですよ、味方同士じゃないですか!?止めて下さい!」
シモを両手で押さえ、震えながら瓦礫に両膝を突くゾン…ゼンラマン。
「ゾンちゃんのゾンちゃんが…っ!これはイケナイ!」
『フーッ、……まだ怒ってる。けど、とりあえずはこれで許してやる』
小さくまだ怒ってるけど、と追加して近くの座れそうな岩に腰掛けた。