第24章 22.
キュパッ!
摩擦の強いゴムを撫で斬る。一筋縄では行かない。まるで玉ねぎのように、皮膚の層がゴムで出来ているみたいで撫で斬った後に落ちたのは腕ではなく、ゴムの皮だった。
ペタッ、と落ちたゴムの皮に刺す。
再生能力などは特に無さそうだ。だとすると、これは痛覚のある体の一部というより、皮とか、防具とかの類。中心には間違いなく、肉なり骨なりありそうだ。
「ほう、私に傷を付けられまいと思っていたが…、そうか、刃物があったな」
『お前の中心に何が詰まってるのか、りんごみたいにくるくる剥いて確かめてやるよ』
ゾンビマンに心から感謝した。昇格祝いに貰った脇差、今の状態で一番の功績を出している。
本当にありがたい、股間潰した後に、唇にキスしてやっても良い。そう心の中では褒めておいてあげる。
ヒュン、と脇差を振る。風を切る音が気持ち良い。
相手に切っ先を向けた。
『楽しみだよ、あんたのゴムの内側、ひたすらゴムなのか、肉が詰まってるのか。ひたすらに剥いてやる』
「やれるもんならやってみろ、手足を吹き飛ばし、残った頭と胴体を丁寧に潰して熨してやる…!」
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敵の光の玉を受けすぎて、再生速度が追いつけねぇ…。
さっきからあちこちで地響きがする。この広すぎる怪人共のアジトで一体何が起こっているのかが気になる。
瓦礫の中、敵の後ろ姿を確認する。手足も無い、胴体すらもまだ修復しきれていない。
俺でさえこんな状態だ、他のヒーローは再生力なんてない。
まあ…タツマキあたりは大丈夫だろう。
アマイマスクのやつは相性がとか言ってたが、大口叩いてたんだ。あいつもヒーローだし、なんとか出来るだろう。