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欠落の風雷暴

第23章 21.


『はい、ごくろーさん』

パチ、と体表に電気を走らせ、竜巻を出す両手から通路奥へと伸びる雷の根が通電しやすい生物へと襲いかかっていく。
感電する度に根は獲物を感電させ、焼き殺し、煙を出させる。中継地点のように怪人から怪人へ、獣からクリーチャーへと襲いかかる。
バババババッと、通路内で溶接でもしているかのような青い雷光。それが消え、焼ける音だけが残る、僅かな照明に照らされた通路。

「この程度か?」

『うーん…相性的なものか』

ただ1体を残して。
何となく想像は付いた、足音の件で。摩擦の大きい音、そしてつるつるとした所でゴムのなる音を出していた。
きっと、私に対しての、怪人協会側が用意した対策用の怪人だろう。電気を通さず、大きいために風が効きにくい。長丁場になりそうだ。

怪人が巨体を捻る。腕を振りかぶる。
風でなんとかなるか、竜巻を片手を出して吹き出す。

「ゴム、パッチン」

腕がしなり、こちらに向かう。
風神の力でなんとか勢いを殺せた、けれど。
しなる怪人のやたらムキムキした腕は鞭のように私の腹を叩きつける。平たいゴムとは違う、人間でいう筋力をゴムに置き換えたような怪人だ。"一撃の重さ"が違った。

『ぐっ、』

子供の遊ぶパチンコのように、空に向けて打ち出されるガラス玉のように。私は後方にまっすぐと吹っ飛んでいく。
ガンッ!背中と腰、後頭部を強打するも、随分と飛ばされたからか勢いは死んでいた。それでも酷く痛く、焼けるような、蒸気の出る感覚が私の背後からする。再生をしている。
ああ、腹の方もシューシュー言ってるな、と理解した時、こみ上げるあの感覚で思わず口を押さえた。
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