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欠落の風雷暴

第23章 21.


突き当り、曲がり角の所で壁にめり込む様に、トンズラ爆速欲張りセットの頭を叩きつけるように斬りつける。
パァン、と水っぽい何かが叩きつけられる音が通路内に響き渡った。
そして硬い頭蓋骨の中身が飛び散り、コンクリートに桃色の豆腐のような物を撒き散らし汚いアートを施した。

曲がり角の先、風で情報収集をしよう、と。右手に付いた怪人の血肉を振って落としながら、ポンチョの内側を漁る。
栄養補給とは言え、美味しすぎるのは難点だ。メチャクチャお腹が減って死にそうという訳ではない、けれどもこれは生理的要求なのか後を引いてるのか分からない。
味変して、中身が食べてみないと分からない、ロシアン・ルーレットな所もいけない。

手でパッケージを向き、怪人が近い方向へ歩きながら一本を半分ほど齧る。

ギチィ…ギチィ…。

聞こえるのは足音。
靴の音とは違う、何か…摩擦の強いものだ。
床を踏みしめる音、それでいてキュッ、と高い音も時折聞こえる。それに混じり、靴の後もパタパタと聞こえる。

音的に歩幅、数…索敵した時は5体であったけれど、妙な音のするやつは1体か。持ったレーションを口に投げ込んで咀嚼しながら歩を進めていく。
コッコッコッ…私の足音が目の前の足音に追加さえ、あちら側のスピードが僅かに上がった。

見えてくる。通路の薄明かりに照らされて怪人が数体。
獣のような見た目の怪人、クリーチャー、クリーチャー2号、タコ、大きな筋肉だるま。

「来た、ヒーローだ!殺せ!」
「向こうはたったの一匹かよ、食い扶持がすくないわァ」

クリーチャーと獣が飛びかかってくる。私までおよそ3メートル。
敵の返り血の付いた手を前に竜巻で押し込む。ギュオッ、と通路内の砂埃と一緒に怪人達が呻いた。

「ぐぅああっ…」

クリーチャーは転がって後退し、べちゃっと奥で転んだ。
飛びかかってきていないやつは足を踏ん張り、ツヤのない、大きな筋肉だるまにしがみつく者までいる。
唯一、獣の怪人は耳を後ろにパタッと倒し、目を細め、手をクロスさせながら一歩一歩、前傾姿勢で私の方へ向かってきていた。
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