第21章 19.
雷ほどじゃなければ発信機も大丈夫って言ってたし、仕方ない。
発信機を持つ手の人差し指で頭を掻いた。銃に雷神の力を込める。パチパチッと銃口から溢れ出そうとしている光。
パンッと弾けるように打ち込むと、装甲に当たり、熱で溶けている。
「ほう、風と雷…風神をやったというのは、お前のことだな?」
『風神がそちらでお世話になったようで。お礼参りに狩りに来てやったよ?』
鱗のような装甲を自ら削ぎ落とし、こちらへと投げるモーション。
銃をしまい、片手を前に。風神の力、竜巻で飛び道具を無効化する。怪人は両手をクロスさせ、自らの飛び道具に当たら無い様に防御をしている。
『こちら風雷暴のハルカ、人質の件了解です。ちょっと今から雷出すんで壊れないようにコレしまうからこちらの受信時にノイズ入るかも』
さっさとしまって、全身に雷神の力を流し込む。発信機はザザザッ、と誰かの通信を受けていたけれど、油断してはいけない。敵の本拠地だから。
青白い稲光を自身に纏って敵へと突っ込んでいく。大事な脇差を携え、切り込む様に。
走って、疾走って、飛び上がって、天井を蹴って、雷そのものの様に斜め下の、硬い装甲の怪人へと落ちた。
「ぐぅ、あああぁぁあ!!」
『…っ』
殴りかかって相殺しようとした拳は私の片耳をちぎり飛ばす。
痛み。傷口が熱く、血が垂れて気持ち悪い。耳の中に伝って入ってくる。ゴポッ、と血で溺れるような耳の中。
それでも落ちた雷は鋭い刃をもって怪人と床をも破壊する。
ドン、ガガガガ…ゴン!
硬い装甲の怪人の重みと、雷の名を持つ神の技だ、床は高熱を持ち、脆くなって数階落ちていった。