第20章 18.
蔦を踏みつけて力を込める。
「~~~…ン゛ッ」
ようやく抜けた蔦をその辺に投げ捨てた。
慣れた痛みのある傷口はじわじわと再生を始めている。
「俺の専門分野は内偵・諜報活動や汚染区域の調査で、戦闘は得意じゃないんだよ」
「流血してるぞ!」
「死に損ないを楽にしてやれ!」
俺の流れる血を見て、致命傷だと思った怪人達が飛びかかる。
やれやれ、再生中に面倒くせぇ。
「やってみろ」
俺と怪人、両方の血が混じった体液が辺りに飛び散る。数体の大きな怪人は床に転がった。
「あ~~骨が折れる。ゴホッ、ゲホッ…実際に折れてる訳だが」
戦闘に特化したわけではない、再生力でなんとか勝てている訳で。アジトに入ってきてから何体もの怪人を葬ってきた。
ハルカも遅れてきたとはいえ、アイツのことだ。纏めて蹴散らしているだろう。治療前は怪我をし、クローンとして短命の人生、ラストスパートとなっていた訳だがここに来てタイミングよく良い方向へと進めた。
能力も上がり、俺の再生力(リスクはあるが)も与えられ、これで長く生きることが出来る。些細なことで心配せずとも良い、あいつはもう立派なヒーローだよ。
……久しぶりに声を聞けてよかった。
発信機から聞こえる声。生きている。例え会った瞬間殴られると分かっても俺は嬉しかった。
目の前には広場、怪人のたまり場か?ぱっと見ても50匹は超えて居そうだ。
「(汗を流すような運動はしたくねぇ…)」
怪人達に導かれるまま、鋼鉄の扉を開けた。