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欠落の風雷暴

第17章 15.


何故かアトミック侍がそれを知っていた。伝えたのは鬼サイボーグかハルカ本人か。鬼サイボーグとは接点がなさそうだ、とすればきっと本人に会って直接話でも聞いたのだろう。あちこちに飛び回っていたんだ、その方がありそうな事だ。
会議室の背もたれにドカッと俺は体重を預けた。

「やばかったぜ、本当に。だが、あいつの"親父殿"が頑張ってくれたようでな、治療もそうだが、きっと強くなって帰ってくるさ」

きっと驚くだろうよ。今までよりも強くなってるんだ。俺と博士からのサプライズプレゼントもある。腕を切られようが腹を刺されようが、あいつは何度でも立ち上がれるヒーローになれる、そんなプレゼントだ。
普通の人間としての人生を歩むことは出来ないことについては、喜んでくれるとは別として…だが。
データの確認をしながら、小さな複数の機械に情報を送り始める童帝。そんな俺達の会話を聞いて声を上げた。

「風雷暴のハルカさん治療中なんだ…怪人の数が多いから彼女には敵の一掃と、侵入口の一つを任せたかったんだけど……」

「他のメンバーには声をかけたのか?童帝きゅん」
「……いや、僕の選考したメンバーが一番作戦にあってるんだ。彼女の担当するべき場所には見張りも兼ねて僕のロボットを何体か仕掛けてみるよ」
「まあ、遅刻だ。案外"めかして、痺れる一撃"を仕込んでるかもな?」
「チッ、痺れてんのはおめぇだけだろーがよォ。どれだけ電話かけてんだよ、だから携帯も繋がんねーんだろ」

はぁ、とアトミック侍は机を指先でトントンと叩いて、俺を指した。
ハルカの携帯の充電が確かに切れていた。俺の最後の着信で最後だったらしい。だからこそ、目覚めるまでにと充電して来たわけだが。
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