第16章 14.
博士は俯いた。
「……それはつまり、生命維持本能のつよい、不死のようなものだ…」
博士の顔は見えない。俯いている。
「君の体はその年齢で固定されることになる。子孫が生まれても先に子や孫、ひ孫が死に、ハルカはずっとその姿のままだ。年をとって死にたい場合は生理的要求を捨て、本来の寿命が来るまでおよそ80年近く待つしか無い」
いわば、万能ではないゾンビマンに近いものになってしまった。
ある意味では、本能のままに動く…、生理的欲求で稼働するゾンビそのものと言うべきか。
しかし、リスクはあっても私は風神・雷神シリーズの統合版、そして再生力もある。
これで私はもっと戦える。救える。生きられる、一緒に並べる!
布団に入っていた身体を起こし、博士に向かい座る。
悲しむことはなく、博士の腿にある握りこぶしに触れた。触れればその手は冷たかった。
『ありがとう、最高のプレゼントだよ。私はヒーローとして、ずっと人を助けられる。66号と一緒に居られる。
──ありがとう……お父さん』
私は人生で初めて、父親に抱きついた。