第15章 13.
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「ハルカを任せたぞ」
手伝って数時間、俺は協会からの連絡を受けて博士の玄関を後にした。
きっと、ハルカの携帯にも掛けたのだろう、言わずとも共に行動する所を多くの者に見られている為に"近くに風雷暴のハルカはいるか?"と聞かれた。
何か疑いの込められた声色だった。除名騒動の事もあったからだろう。しぶしぶ、怪我の治療の為に今は眠っている、と伝えた。
出発の少し前の事だ。
充電の切れたハルカの携帯を博士の茶の間で充電してやり、画面を出す。ハルカの部屋で眠っていたらしい自身の寝顔を待ち受けにされていて、思わず口を手で隠した。まだ俺の事を好きでいてくれているんだろう。隣に自分の携帯を並べる。互いに互いの無防備な姿を待ち受けにしている。
はぁ、とため息を吐いて、自身の心臓が高鳴っていることに自覚した。
それから携帯の着信を調べる。人の携帯を調べるのは…だが、しばらく眠り続けていたんだ。他のやつも掛けているだろう。確認すれば俺の着信が36件あった。他に童帝や協会からや、ジェノス、と。最後の着信は俺からだったようでそれが充電をゼロにする一撃だったらしい。
ブブブ、と俺の携帯に連絡が入る。
通話モードにして耳に押し付けた。
「──もしもし?ゾンビマンだ」
協会からの集合の声を電話で聞き、博士は黙って俺を見ていた。
もしも起きた時に、協会の集まりがあってゾンビマンは行ってしまったなどとハルカに伝えるなとも言えたが、俺との生活よりもヒーローであることを優先した子だ。せっかく死にかけを回復し、失った腕を取り戻せた恋人ではあるが、それでも立ち向かえる勇気があうのならは先輩ヒーローとして誇らしいもの。
口封じはせず、携帯の履歴も消さず、ハルカを任せて俺は協会へと向かった。