第14章 12.
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「──つまり、ハルカの体にガタが来て、博士の所にくる最中に怪人に腕を引きちぎられてそのままここへ自力で来て、瀕死のハルカを介抱し、本人の意思でオリジナルのハルカを溶かしたモンを培養液にいるハルカに注ぎ込んでる、と……?」
博士の説明を聞いて、纏め、自分の口で言う。そこそこ理解が出来た。目の前の博士も頷いて肯定をしている。
確かに、ネット上でこいつが吐血したとか怪我をしたとか騒がれていた。本人が病院にも行かず消えたので真相は分からなかったのだが。
博士は折りたたまれた紙を俺に差し出した。
「万が一こうなることを予想して、破壊される前にと本人に書き残して貰ったのは良いんだが…流石に君は理解が早いね」
過去に進化の家を破壊した前科があるから、秘策として書いてもらったのだろう。培養槽を破壊したらハルカが危ないと言われれば、流石に破壊は出来なかった、が。
差し出された紙を受け取り、カサ、と音を立てて開けば本人の字で大きくなぐり書きがされていた。
"起こすんじゃねぇ、変態中出し野郎!"
「…はっ、」
力なく笑う。強張っていた全身の力が抜けてしまいそうだ。そんな俺の紙を覗いて博士は同じ様に力なく笑った。
「君は……。強要したら嫌われるぞ」
「あんたがそれを言うかよ……」
培養槽の中、閉じられた瞳が薄らと開いたような気がした。