第12章 10.
「君は生きたいかい?」
至極当たり前の答えが返ってくるであろう質問だった。
『生きたい…!』
その言葉を合言葉の様に、受け取った博士はゆっくりと頷いた。
「実は、76号の遺体は保存してあるんだ。進化の家から持ち出せなかったファイルには、実験体にするのは1個体か2個体かで迷い、最終的に2個体の風神と雷神にしたんだよ。つまりは、1人で風神・雷神の両方の力を平等に使う方法もあった、と」
『…何故2つに分けたんです?』
オリジナルがあったのに、オリジナルに始めから2つの力を入れれば良かったんじゃないのか。何故クローン、私を作ってまでやったのだろう。
「雷に打たれた傷もあったから、綺麗な状態のクローンを作ってみたら優秀な君が生まれたからだ。
欠点を能力が補う、つまりはオリジナル並に生きられるという事だった。君は命を補う力を超えるほどに能力が高かったんだ」