第3章 1.
風神騒動から一週間が経過した。
大きく取り上げられていた騒動も、新しい騒動に塗り替えられていく。今日も怪人があちこちで発生したり、ヒーロー狩りが起こったり。
サイタマの部屋で休息を取りながら、テレビを見ていた。
「ずいぶんと今日はゆっくりしてんな」
ヒーローチップスをパーティー開けして、サイタマと食べながらテレビをだらだらと見ていた。
おまけのカードの付いているポテトチップスで、今までにジェノスは2枚、私とゾンビマンは1枚ずつ出ている。
『普段の私はサイタマから見て、そんなに忙しく見えるわけ?』
「うーん、まあ、忙しいっちゃあ忙しく見えるんだけれど…」
ポテチの上で指先に付いた塩をパラパラと落とし、湯飲み茶碗のコーラを飲む。
コーラが1本しか無かったので私とサイタマで分けて飲んでいるのだ。
サイタマは間を置き、チラチラと見ていたテレビから私に視線を完全に移してじっと見る。
『…けど?』
「おまえさ、前は落ち着かずに散歩感覚ってか、狩りとかする感じで夕方まで怪人倒しに行ってるだろ?」
確かにそうだ。部屋でじっとするのが出来ず、ふらふらと狩りに行ってしまう。
今日も数十分前に部屋に戻ってきたけれど。
「それが早く俺の部屋に真っ先に帰ってきた。じゃあ、ゾンビマンとのデートがあるから早いのかなーって思ったけど、そんな様子じゃないし…」
『そんな様子ってどんな様子だよ…』
「あ?部屋でそわそわしてるか、部屋でお泊り用リュックの荷造りしてるかだろ?0.01ミリとか薄さを強調する薬局で買うようなモンとか突っ込んでよ」
『ウワッ』
眉間にしわを寄せて言うサイタマに、俺に言わせんなオーラを感じた。
結構ゾンビマンと旅館だったりホテルだったり外泊デートをする事が多いからだ。未婚、彼女なしのサイタマにとって私とゾンビマンは恋人同士という事は知られているし、風神騒動の倒れた私を運んだゾンビマンにより全裸にされ、ベッドに居る所を目撃された。壁がやや薄いため、普段は私の部屋でそういった事は出来ないけれど、騒動後気を使われ、1時間外出宣言を受けた後、私の部屋で初めて交わった。それ以降は部屋では遠慮をしている。
即ち、肉体関係のある恋人達が外泊を多くするとは。そういう事を意味するのだ。