第9章 7.
路地裏に進んだ所から風を起こし、建物上へ。数軒移動してデパートの屋上のベンチに座る。
いやあ、慌てた慌てた。サンドイッチを開封し齧り付いた。クリームチーズとハムがこれまた美味しい。きゅうりがアクセントをつけてる、食感が楽しい。
運動が嫌いな彼にはここまではたどり着けないでしょう、と食事を腹に詰め込んでいく。
それからアボカドとスモークサーモン、胡椒の効いたハムチーズと数種類食べていって、シメにフルーツサンドに手を伸ばす。いちごにキウイ、これはマンゴーかな?たっぷりとクリームに挟まっていて甘い。甘すぎず、フルーツの酸味がベストマッチしていてこれはもうひとつ買えばよかったな、と後悔した。
半分程食べていく。飽きない、うまい。甘酸っぱくてシメに最高…。そして喉の奥が焼けるような感覚。
フルーツだけだよな、辛いものとかあったっけ?さっきの胡椒が張り付いていたか?
口の中のものを飲み込んでから数回咳き込んだ。
『こほっこほ、ゲホッ、』
食べてる最中に咳き込めば食べ物が少量唾液と共に出る。
さっきまでフルーツサンドを食べていたんだ。そりゃあ、クリームが吐き出るわけだ。
でもこのクリーム、いちごにしては……。
『これ……血…だ』
口の中が鉄の味がして不快で、残ったバナナシェイクで流し込む。混ざりあった不快な味が現実を突きつける。しばらく飲めば誤魔化してくれた。
ストローには赤いもの。
手の甲で口を拭う。まるで口紅のようだ。
私の体は警鐘を鳴らしていた。